この記事で解決!
- 失業保険の受給条件や方法、流れがわかる!
- 失業手当の金額や受給日数、受給開始のタイミング、期間などがわかる!
- 自己都合退職ですぐもらえる条件がわかる!
仕事をしながら転職活動をする薬剤師が大半ですが、
退職してから就職先を探すことになる薬剤師さんももちろんいます。
「退職して一旦ゆっくりしてから就職先を探したかった」
「体調を崩し休職からそのまま退職した」
「過労で退職せざるをえなかった」
色んな理由があると思います。
本記事は、退職し「失業保険をもらいながら就職活動をしたい!」と考えている薬剤師さんに向けた記事になっています。
薬剤師である私の経験をふまえてわかりやすくまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
そもそも失業保険とは?
雇用保険に入っていた労働者が失業した場合に、
再就職までの間、一定の給付金を受けられる制度のことです。
仕事を探している間は、国から給付金がもらえます。
これは、求職中の生活の維持や再就職活動の支援を目的としています。
薬剤師も失業保険ってもらえるの?
薬剤師って転職しやすそうだし、失業保険もらえないんじゃないの?
このような疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
実際、薬剤師は転職に強い職業です。就職先もすぐ決まる傾向があります。
しかし、薬剤師も他の職業と同様に失業保険がもらえます。
「失業保険」と聞くと、なかなか就職先を見つけられない人がもらうイメージをもつかもしれませんが、雇用保険に入り今まで保険料を納めていた人であれば、当然、受給する権利があります。
就職しやすさは関係ありません。
納得のいく職場をじっくり探すためにも、失業保険の制度を利用しましょう。
今まで保険料をおさめてきた分、失業したら遠慮せず申請をしましょう。
失業保険(失業手当)をもらう条件
失業手当の受給条件は以下のようになります。
雇用保険に一定期間以上加入している
失業手当を受けるためには、雇用保険に一定期間以上加入している必要があります。
通常は1年以上の加入が必要です。
- 原則として、離職の日以前2年間に12ヶ月以上被保険者期間がある
しかし、以下のようなやむを得ない理由による離職の場合は6ヵ月以上の加入で受給できます。
- 倒産・解雇などにより離職の場合→離職の日以前1年間に6ヵ月以上被保険者期間がある
- 期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと(その他やむを得ない理由)による離職
→離職の日以前1年間に6ヵ月以上被保険者期間がある
すぐに働くことができ、仕事を探している
失業手当を受けるためには、失業の状態ですぐに働けることが条件になります。
具体的には以下を満たす必要があります。
- 就職したいという積極的な意思をもっている
- いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)がある
- 積極的に求職活動をしている
すぐに働ける&働きたい状態ならOKですね!
原則として失業手当がもらえないのはどんな人?
失業手当がもらえないのは以下のような方です。
- 家事に専念する方
- 学生と同様の状態と認められる方
- 学業に専念する方
- 家業に従事に職業に就くことができない方
- 次の就職が決まっている方
- 雇用保険の被保険者とならないような短期間就労のみを希望する方
- 自分の名義で事業を営んでいる方
- 会社の役員などに就任している方
- 就職や就労中の方
- パートやアルバイト中の方
- 同一事業所に就職予定がある方
パートやアルバイトであっても働いている状態にあれば原則もらえません。(労働時間が1日4時間以上であればその日は不支給、労働時間が1日4時間未満であれば減額または不支給になります。)
就職先が決まっている場合も、もらえませんので注意してくださいね。
薬剤師が失業手当を受給するまでの流れ
失業手当をもらうためには、以下の手順が必要です。
必要書類を提出し、求職の申し込みを行います。
この日が「受給資格決定日」になります。
ハローワークに来所し、失業の認定を受けます。
再就職または受給期間満了まで、STEP5~STEP7を繰り返します。
離職票を会社から受け取る
退職したら、まず離職票(2枚)を会社から受け取りましょう。
これは、ハローワークの受給手続きに必要になります。
退職前に離職票が必要な旨を伝えておくとスムーズです。
通常は、退職して2週間程度で郵送されてきます。
もし、届かない場合は会社に問い合わせましょう。退職者が希望した際に、離職票を発行するのは会社の義務です。手続き状況を問い合わせ、早めの発行を依頼しましょう。
ハローワークで失業手当の受給手続きをする
離職票(2枚)を会社から受け取ったら、ハローワークに行きましょう!
自分の住んでいる地域の管轄ハローワークでの手続きになります。
管轄のハローワークは、厚生労働省の全国ハローワーク所在案内で確認できますよ。
受給手続きに必要なものはこちらです。
- 離職票-1(氏名や口座番号を記入しておく)
- 離職票-2
- マイナンバーカード(または①個人番号確認書類+②身元確認書類)
- 写真2枚(6か月以内、正面上三分身、3.0cm×2.4cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- (船員だった人は船員保険失業保険証および船員手帳)
上記の書類を提出し、受給手続きの申し込みをしましょう。
受給手続きでは以下を行います。
- 離職票など必要書類の提出
- 求職の申し込み
- 雇用保険説明会の日時決定
手続きを完了させたこの日が「受給資格決定日」となります。
この日から7日間は「待期期間」となります。
手続きが終わり受給資格が決定すると、書類が渡されます。
私が手続した際は、以下を受け取りました。
- 雇用保険受給資格者のしおり
- 失業認定申告書(失業認定日に提出する)
- 就職ハンドブック(職業講習会で使う)
- その他資料
「雇用保険受給資格者のしおり」には雇用保険制度について詳しく書かれています。
しおりを読めば大抵のことは解決します。不明なことがあれば、ハローワークでも丁寧な説明を受けることができます。
制度についてよくわからなくても安心してくださいね。
雇用保険説明会に参加する
失業手当を受けるためには、雇用保険説明会に参加する必要があります。
雇用保険説明会では、名前の通り雇用保険制度の説明を受けます。
「初回認定日(初回の失業認定日)」の日付も伝えられます。
この日にハローワークに来所しないと失業保険の支給が開始されませんので注意です。
雇用保険説明会では、雇用保険受給資格者証を受け取ります。
雇用保険受給資格者証は、失業手当を受給するために必要になるので大切に保管しましょう。
雇用保険説明会に参加すると、そのまま職業講習会(初回講習会、就職相談会などとも呼ばれる)への参加を促されます。
このようなハローワークが実施する講習会に参加すれば、求職活動実績になりますので、そのまま参加しましょう。(基本的にそのまま全員参加することになると思います。)
雇用保険説明会に参加しただけでは、求職活動実績にならないので注意です。
求職活動をする
失業手当をもらうためには、4週間ごとの失業認定日までに少なくとも2回以上の求職活動を行う必要があります。
実績として認められるのは以下のような求職活動です。
- 求人への応募
- ハローワークが実施するもの:求職申込み、職業相談、職業紹介、職業講習会…
- 許可・届け出のある民間事業者等が実施するもの:求職申込み、職業相談、職業紹介、求職活動方法等の指導…
- 公共機関等が実施するもの:職業相談、個別相談ができる企業説明会、職業紹介…
- 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験を受験
以下の場合は、求職活動実績になりませんので注意してください。
- 単なるハローワーク、新聞、インターネット等での求人情報閲覧
- 単なる知人への紹介依頼
- インターネット等による民間職業紹介事業者、労働派遣事業者、地方公共団体の行う無料職業紹介事業への単なる登録
初回認定日(初回の失業認定日)に関しては、少なくとも1回以上の求職活動実績があれば失業の認定が受けられます。
つまり、雇用保険説明会とセットで講習会に参加しておけば初回認定日までの求職活動実績はクリアできます。
薬剤師の求職活動実績の作り方はこちら
失業認定日にハローワークに来所
失業認定日にハローワークに行き、受給資格が認められるかどうかの判定を受けます。
認定日には、以下が必要になります。
- 受給資格者証
- 失業認定申告書
認定日には、失業の認定を受ける期間について記載した「失業認定申告書」を提出します。
失業認定申告書には、失業の認定を受ける期間について
- 働いていないか(就職、就労、内職、アルバイトなどをしていないか)
- 求職活動しているか(求職活動実績の基準を満たしているか)
- すぐにでも働ける状態か(条件に合った仕事の紹介に応じられるか)
などについて記載します。
これは、さきほど解説した「失業手当をもらう条件」に一致しますね!
自分の状況を正確に申告し、失業の認定を受けましょう。
基本的に認定日に来所しなければ、
その「認定日」の前日までの4週間について「失業の認定」をうけることができません。
つまり、失業手当の支給を受けることができなくなるので注意しましょう。
失業手当を受給する
失業手当は、失業認定日から約1週間程度で銀行口座に振り込まれます。
失業手当でもらえる支給金額と日数
失業手当の支給金額や期間について詳しく説明します。
失業手当の1日当たりの給付額(基本手当日額)
失業している日に受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
基本手当日額は、前職の収入に応じて計算されます。
原則として、離職の日以前の6ヵ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額【賃金日額】のおよそ5~8割です。
およそ前職の収入の5~8割ということですね!
賃金の低い方ほど高い給付率になります。
基本手当日額には、上限額・下限額が定められています。
年齢区分 | 賃金日額上限 | 基本手当日額上限 |
---|---|---|
~29歳 | 13890円 | 6945円 |
30~44歳 | 15430円 | 7715円 |
45~59歳 | 16980円 | 8490円 |
60~64歳 | 16210円 | 7294円 |
年齢区分 | 賃金日額下限 | 基本手当日額下限 |
---|---|---|
全年齢共通 | 2746円 | 2196円 |
失業手当の受給日数
失業手当の支給を受けることができる日数(所定給付日数)は、以下のように定められています。
被保険者であった期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
全年齢共通 | 90日 | 120日 | 150日 |
被保険者であった期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 150日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
失業手当支給の開始と期間(いつからもらえる?)
支給をうけることができる期間(受給期間)
支給をうけることができる期間(受給期間)は、離職の日の翌日から1年間となっています。
「受給期間」の期間内に、「所定給付日数」の範囲内で支給されることになります。
失業手当はいつからもらえるの?
失業手当の支給開始は以下のように定められています。
離職理由 | 解雇、定年、契約期間満了 | 自己都合、懲戒解雇 |
---|---|---|
支給開始 | 離職票を提出し、求職申し込みをしてから7日間の待期が経過した後 【受給資格決定日から7日経過後】 | 離職票を提出し、求職申し込みをしてから7日間の待期+2ヵ月または3ヶ月(給付制限)が経過した後 【受給資格決定日から7日+2~3ヶ月後】 |
自己都合退職では手続きをしても2~3か月はもらえないんですね…
そうなんです…
ただし、特定受給資格者や特定理由離職者に該当すれば、自己都合退職であってもすぐもらうことができますよ!
自己都合でもすぐもらえる特定受給資格者・特定理由離職者とは?
特定受給資格者や特定理由離職者とは以下のような理由で離職した人をいいます。
特定受給資格者 | 特定理由離職者 |
---|---|
・倒産、解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職 | ・期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職 ・その他やむを得ない理由により離職 |
(例) ・長時間の時間外労働で離職 ・賃金が支払われなかったため離職 ・賃金を著しく下げられたため離職 など | (例) ・心身の不調により離職 ・妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険の受給期間延長措置を受けた ・家族の介護のために離職 ・配偶者の転勤のため離職 など |
自己都合退職であっても、やむを得ず離職した人はすぐ支給を受けられるということですね!ありがたい!
特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、ハローワークが行います。
離職理由は、事業主が主張する離職理由+離職者が主張する離職理由を把握し、それぞれの主張を確認できる資料による事実確認を行った上で判定されます。
私は特定理由離職者の判定を受けたため、すぐ手当を受給することができました。
ハローワークのサイト(特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要)で細かい範囲と判断基準を確認することができます。
病気やケガを理由に退職した人はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
早く就職すればもらえる!再就職手当とは
再就職手当とは?
再就職手当とは、ハローワークで手続き(求職申込み)をして、待期期間(7日間)を経過した後に、早期に安定した職業に再就職した場合にもらえる手当のことです。
【就職する前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数】により以下のように給付率が決められています。
- 支給残日数が所定給付日数の2/3以上 →基本手当の支給残日数の7割の額
- 支給残日数が所定給付日数の1/3以上 →基本手当の支給残日数の6割の額
を受給することができます。
早く再就職すると給付率が高くなるんですね!
安定した職場に早く再就職できれば、残りの日数の6~7割程度の手当がもらえちゃうんです!
求職活動のモチベーションもアップしますよね!
再就職手当の支給条件
以下のすべてを満たせば、再就職手当がもらえます。
わかりにくいポイントを以下にまとめます。
・前職との間に、密接な関わりがない職場に再就職する
・自己都合退職の場合は、待機期間終了後1ヶ月の間はハローワークか厚生労働省が許可した職業紹介事業者からの紹介で再就職する
・1年を超えて勤務することが確実である再就職先である
・雇用保険に加入する労働条件で再就職する
つまり、ハローワークの手続きを適切に済ませてから、安定して働き続けられるような職場に早く再就職できれば受給できるということですね。
薬剤師であれば、再就職先が決まるのも早いです。
再就職手当も受給できる可能性が高いです。
私も、就職先がすぐ決まり再就職手当を受給することができました。
再就職手当についてはこちらで詳しく解説しています。
薬剤師も失業保険を活用しよう!
失業手当の支給条件や手続きの流れなど重要ポイントについてご紹介しました。
薬剤師であっても、失業時にはしっかり制度を活用しながら仕事を探しましょう。
国家資格をもつ薬剤師であれば、きっと仕事がすぐ見つかりますよ。
薬剤師の求職活動実績の作り方はこちら!
心身の不調で働けなければ傷病手当金の申請を!
病気やケガを理由に退職した人はこちらも!